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デザインに関わる法律や権利について

この記事はデザインに関わる法律や権利についての備忘です。国内のWebサイトや広告を中心に制作のどこに法律や権利が関わるのかを広く整理しました。あくまで調べるための入口で法的助言ではない点にご留意ください。判断に迷う場合は必要に応じて依頼者の法務担当者やその分野に詳しい専門家へ相談してください。

  • ※ 2026年9月15日時点の法令・公的資料などに基づきます。業種、地域、媒体、取引形態で適用範囲が異なります。

法律・権利・基準の違い

制作で関わるルールは法律に限りません。自主基準や契約条件も含めて、何に基づく条件かを区別します。

種類
法律・政省令・条例・告示 著作権法、食品表示基準、屋外広告物条例
裁判例などで認められる権利・利益 肖像権、パブリシティ権、プライバシー
行政の指針・ガイドライン 医療広告等ガイドライン
業界の自主基準・公正競争規約 酒類の広告自主基準、不動産の表示規約
技術標準・認証 WCAG、JIS、各種認証マーク
契約・利用規約 素材ライセンス、広告媒体の掲載規約

以下のNG/OKは記載した条件での例です。OKはその論点の改善例であり、案件全体の適法性を保証するものではありません。自主基準や技術標準に基づく例も含みます。義務を負う主体や適用条件は制度ごとに異なります。また法改正の案や提言も施行済みのルールとは区別します。

制作内容から関連する項目

制作内容 関連
写真、イラスト、映像、音楽、文章を使用する 著作権、著作隣接権、肖像権、利用ライセンス
ロゴ、商品名、製品、操作画面をつくる 商標、意匠、特許・実用新案、不正競争防止法
広告、キャンペーン、価格表をつくる 景品表示法、総額表示、業種別広告規制
EC、予約、定期契約、解約の画面をつくる 特定商取引法、消費者契約法、電子消費者契約法、ダークパターン
フォーム、会員機能、解析、広告タグを設置する 個人情報保護法、外部送信規律、特定電子メール法
医薬品、化粧品、医療機関、施術所を紹介する 薬機法、医療法、施術業ごとの広告規制
食品、健康食品、酒類、たばこを扱う 食品表示法、健康増進法、酒類・たばこの表示と広告のルール
子ども・青少年を対象とする 年齢制限、未成年者の契約、青少年関係法令、個人情報の取扱い
金融、不動産、旅行、求人を扱う 業法、行政指針、公正競争規約
パッケージ、ラベル、説明書、看板をつくる 品質表示、製品安全、計量、識別表示、屋外広告物条例
サービスの利用しやすさを設計する 障害者差別解消法、アクセシビリティの標準
投稿機能や特定用途のサイトをつくる 権利侵害対応、選挙・成人向け・遊技関連の規制
制作を受注・外注する 契約、権利の帰属、フリーランス法、取適法
海外へ商品・サービスを提供する 対象国の広告・消費者保護・個人情報・アクセシビリティの制度

著作物と知的財産

著作権法

まずは著作権法です。写真、文章、音楽、プログラムなどの創作的な表現を保護します。他人の著作物を複製、公開、翻案(別の表現へ作り替える)するには許諾や権利制限規定などの利用根拠が必要です。出典の記載だけでは足りず、引用にも要件があります。文化庁:他人の著作物を利用したい場合など文化庁:ここが知りたい著作権

著作者人格権には次の3つがあります。

  • 公表権:未公表の著作物を公表するかどうかを決める権利。
  • 氏名表示権:著作者名を表示するか、どのように表示するかを決める権利。クレジットの省略や表記の変更に関わります。
  • 同一性保持権:作品の内容や題号を意に反して改変されない権利。写真のトリミングや色変更などで関わることがあります。

著作権を譲渡しても著作者人格権は譲渡されません。音楽や映像には実演家・レコード製作者などの著作隣接権も関わります。文化庁:著作権テキスト(令和8年度)

具体例

NG : 検索で見つけた写真を許諾などの利用根拠がないまま広告へ転載する。
OK : 広告利用が許諾された写真を、加工・クレジットなどの条件に従って使用する。

商標法

商品・サービスの出所を識別する名称やロゴなどを保護します。一定の条件で立体的形状、色彩、音、動きなども対象です。ロゴや商品名の提案では見た目と読み方に加えて、登録内容と指定商品・役務を調べます。特許庁:商標とは

意匠法

物品や建築物、一定の要件を満たす操作画像・表示画像、内装などのデザインを保護します。一般的なWebページの見た目がすべて対象になるわけではありません。製品や画面の登録意匠を調べるほか自分たちの制作物を登録する場合は公開前に出願方針を決めます。特許庁:意匠制度の概要

特許法・実用新案法

特許法は発明を保護し、実用新案法は物品の形状・構造・組合せに関する考案を保護します。操作方法や製品の機構まで設計する場合に関係し、見た目が異なっていても技術的な構成が問題になることがあります。実用新案には方法そのものは含まれません。特許庁:特許・実用新案とは

不正競争防止法

周知・著名な商品等表示の不正使用、商品形態の模倣、営業秘密の不正取得・使用などを規制します。商標や意匠が未登録でも一定の条件で保護されます。他社に似せたパッケージや、別案件で得た非公開資料の流用などが関わる場面です。経済産業省:不正競争防止法の逐条解説

人物・プライバシー・名誉

肖像権・パブリシティ権

肖像権はみだりに容貌などを撮影・公表されない利益、パブリシティ権は氏名・肖像などの顧客吸引力を排他的に利用する権利に関係します。同名の法律があるのではなく裁判例などに基づく権利です。文化庁:他人の肖像や著作物に関する注意点最高裁:パブリシティ権に関する判決(2012年2月2日・英訳)

具体例

NG : 社内報だけに使用すると約束した社員写真を、無断で採用広告へ転用する。
OK : 本人から採用広告への使用についても了承を得て、合意した媒体・期間で掲載する。

プライバシー・名誉

私生活上の情報の公開や、人・企業の評価を傷つける表現は民法上の不法行為や刑法上の名誉毀損・侮辱などの問題になり得ます。事実であることだけで公開が許されるわけではありません。制作実績の画像に残る個人情報や、写真・肩書から本人が分かる事例紹介にも関わります。

広告・販促・価格表示

景品表示法

商品・サービスを実際より著しく優良に見せる「優良誤認」や、価格などの取引条件を著しく有利に見せる「有利誤認」、過大な景品類の提供などを規制します。消費者庁:景品表示法関係ガイドライン等

小さな注記があっても全体として誤認を招く場合があります。強調表示と打消し表示の位置、文字サイズ、配色、表示時間までがデザインに関わる部分です。消費者庁:インターネット上の広告表示

具体例

NG : 販売実績のない「通常価格10,000円」を置き「今だけ半額」と表示する。
OK : 架空の比較価格を削り、実際の販売価格「5,000円(税込)」を表示する。

ステルスマーケティング規制

広告であることを消費者が判別しにくい表示を景品表示法で規制します。対象は商品・サービスを供給する広告主で、表示内容の決定への関与などから判断されます。消費者庁:ステルスマーケティング規制

具体例

NG : 広告主が依頼・内容指定した紹介記事を、中立な編集記事のように見せる。
OK : 記事の冒頭など見やすい位置に「広告」と広告主名を表示する。

景品・懸賞・キャンペーン

景品表示法の景品規制は一般懸賞、共同懸賞、総付景品などで条件が異なります。取引に付随しないオープン懸賞とも区別します。消費者庁:景品規制の概要

具体例

NG : 購入者限定の抽選なのに、バナーには「誰でも応募できます」と書く。
OK : バナーにも「対象商品を購入した方限定」と書き、応募規約と条件をそろえる。

消費税の総額表示

課税事業者が消費者向けに価格をあらかじめ表示する場合は原則として税込価格が必要です。価格表、メニュー、バナー、商品画像内の価格なども関わります。事業者間取引は取扱いが異なり、送料や手数料などは販売条件として別途示します。国税庁:「総額表示」の義務付け

具体例

NG : 総額表示の対象となる価格表に「10,000円+税」とだけ書く。
OK : 税率10%の商品なら「11,000円(税込)」と書く。

購入・契約・解約の画面

特定商取引法

通信販売、訪問販売、特定継続的役務提供などを規制します。ECでは事業者情報や広告表示に加えて最終確認画面も対象です。通信販売には一般的なクーリング・オフ制度がなく、返品特約など別の規律があります。消費者庁:通信販売

最終確認画面では分量、価格、支払時期・方法、引渡し・提供時期、撤回・解除の条件、申込期限がある場合の期限などを示します。定期購入では各回の金額・契約条件に加え、回数が決まっている場合は支払総額も示します。有料の申込みだと分かるボタンの文言も関わります。消費者庁:通信販売のガイドライン

具体例

NG : 毎月届く定期購入なのに、最終確認画面には初回の「500円」しか載せない。
OK : 定期購入であること、初回・2回目以降の金額、継続・解約条件などを同じ画面で把握できるようにする。

消費者契約法・民法

消費者契約法は不当な勧誘による契約の取消しや、不当な契約条項の無効などを定めます。利用規約への同意があっても、解約料や免責条項がすべて有効になるわけではありません。契約の成立や約款の組入れは民法にも関わり、規約と申込画面の説明をそろえる必要があります。消費者庁:消費者契約法

電子消費者契約法

正式名称は「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」です。操作ミスによる申込みなどについて錯誤の特例を定め、事業者が意思確認の措置を講じているかなどが関係します。e-Gov:電子消費者契約法経済産業省:電子商取引及び情報財取引等に関する準則(2025年2月改訂)

具体例

NG : 「次へ」を押すと、注文内容を確認・訂正できないまま有料注文が確定する。
OK : 確認・訂正できる画面を経て「注文を確定する」ボタンで申し込む。

資金決済法・割賦販売法

有償ポイントやギフト券などは資金決済法の前払式支払手段に該当するかが論点です。有償・無償、使用先、期限などによって扱いが変わります。金融庁:前払式支払手段のFAQ(Q5-1)

分割払い・クレジット・後払いには割賦販売法なども関係します。支払回数や手数料の表示、カード情報の取扱いを決済事業者の要件と合わせて設計します。e-Gov:割賦販売法

ダークパターンと規制強化

利用者の判断や選択を歪め、意図しない契約や情報提供へ誘導する画面・操作の設計を指します。費用を隠す、実態のないカウントダウンで急がせる、解約を必要以上に困難にするといった例があります。消費者庁:ダークパターンを含む参考資料集

日本では景品表示法や特定商取引法などで対応している行為があります。消費者庁が公表した2026年9月10日付の中間取りまとめでは、誤認を招く手法や威迫・迷惑・不安を覚えさせる攻撃的な手法への一定程度包括的な規律を検討すべきとしています。ただしこれは検討会の提言であり施行済みの新法ではありません。消費者庁:デジタル取引・特定商取引法等検討会 中間取りまとめ

制作では契約条件の見つけやすさ、拒否・解約の選択肢、操作の負担を一連の流れでみることが重要です。ボタンの色や大きさが異なることだけで違法と判断するものではありません。

具体例

NG : いつアクセスしても「セール終了まであと10分」と表示し、時間が来るとリセットする。
OK : 実際の終了日時を表示し、期限が来たらセールを終了する。

個人情報・Cookie・広告メール

個人情報保護法

個人情報の利用目的、取得、第三者提供、安全管理などを規律します。フォームで本人から直接情報を取得する場合は原則として利用目的の明示が必要です。ただし取得状況から目的が明らかな場合などには例外があります。個人情報保護委員会:入力画面での利用目的の明示

利用目的の明示と同意の取得は別の論点です。第三者提供などの条件を整理し、取得項目・送信先・同意欄を設計します。個人情報保護委員会:通則編ガイドライン 管理画面や試作でもアクセス権限や使用データの安全管理が関わります。個人情報保護委員会:安全管理措置に関するFAQ

具体例

NG : 懸賞の応募フォームで住所を集め、営業資料の送付にも使うのに利用目的を示さない。
OK : 賞品と営業資料の送付に使うことを、応募情報の送信前に明示する。

電気通信事業法の外部送信規律

対象となる電気通信役務では、解析・広告タグや埋込みなどによる利用者情報の外部送信について通知、容易に知り得る形での公表、同意取得、所定のオプトアウト措置のいずれかが求められます。適用除外もあり、すべての企業サイトに同意バナーを義務付ける制度ではありません。対象性と送信する情報・送信先・利用目的から対応を決めます。総務省:外部送信規律FAQ

特定電子メール法

広告宣伝メールは原則として事前の同意が必要で、送信者の表示や受信拒否への対応も定められています。例外があり、特定商取引法のメール広告規制が重なる場合もあります。メルマガ登録欄から配信停止までの導線が関わります。消費者庁:特定電子メール法のポイント

具体例

NG : 広告配信の同意も例外の根拠もない問い合わせ者を、メルマガへ自動登録する。
OK : 問い合わせへの返信とは別に、広告配信を希望する人から同意を得る。

医薬品・化粧品・医療・美容

薬機法

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などの虚偽・誇大広告や未承認医薬品等の広告を規制します。虚偽・誇大広告の禁止は「何人も」が対象で、製造販売業者に限らず広告をつくる側も含まれます。商品区分によって表現できる効能が異なり、コピーに加えて肌の変化を示す画像や医師が保証するように見える構成も関わります。厚生労働省:医薬品等の広告規制

具体例

NG : 一般化粧品の保湿クリームに「シミが消える」と書く。
OK : その製品に該当する効能の範囲で「肌にうるおいを与える」と書く。

厚生労働省:化粧品の効能の範囲

医療法・医療広告等ガイドライン

病院・診療所などの広告には医療法が関係し、Webサイトも対象になり得ます。広告可能事項と限定解除の要件、体験談、治療前後の写真などに規定があります。美容医療のLPや症例紹介では費用、主なリスク・副作用などを含めて構成します。厚生労働省:医療法における病院等の広告規制

あはき・柔整など施術業の広告規制

あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復には業務ごとの法律と広告規定があります。資格、施術内容、効果、保険の取扱いなどが対象です。「整体」「マッサージ」という名称だけで業態を判断せず、実際の資格とサービスを基に広告ガイドラインを参照します。厚生労働省:あはき・柔整の制度と広告ガイドライン

食品・健康食品の表示

食品表示法・食品表示基準

食品の種類や販売形態に応じて原材料、アレルゲン、期限、栄養成分などの表示を定めます。パッケージでは表示方法や文字の大きさも対象です。消費者庁:食品表示法等 容器包装の表示義務とECでの情報提供は区別し、商品ページの制作には消費者庁のガイドブックも参考にします。消費者庁:インターネット販売における食品表示の情報提供

具体例

NG : パッケージをすっきり見せるため、必要なアレルゲン表示を削る。
OK : 必要な表示を残し、文字サイズなどの基準に合うようレイアウトを調整する。

健康増進法

食品の健康保持増進効果などについて著しく事実に相違する表示や著しく誤認させる表示を禁じます。体験談や図解も含まれ、「個人の感想です」という注記だけで問題が解消するとは限りません。健康食品では景品表示法・薬機法に加え、特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品それぞれの制度も関わります。消費者庁:健康増進法・誇大表示の禁止

具体例

NG : 根拠のない「食事を変えずに必ず10kgやせる」に「個人の感想です」と添える。
OK : 減量の保証を削り、例えば実測・確認した「1袋当たり100kcal」などの情報を正確に示す。

JAS・原産地・地理的表示

「有機」「オーガニック」、JASマーク、保護される産地名などには使用条件があります。パッケージへ入れる前に認証の有無と表示条件を照合します。農林水産省:JAS制度農林水産省:地理的表示保護制度 酒類の地理的表示や製法品質表示は国税庁が所管する制度です。

酒類・たばこの広告と販売

酒類の年齢制限と表示

「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」は20歳未満の飲酒を禁じ、販売・供与する営業者に年齢確認などを求めます。e-Gov:飲酒に関する法律

通信販売では申込画面に年齢記載欄を設け、その近くに20歳未満の飲酒禁止や販売しない旨を示すなどの表示基準があります。入口の年齢ゲートとは別の対応です。国税庁:酒類の通信販売における表示

ラベルには酒税法、酒類業組合法、食品表示法などが関係し、品目・アルコール分・製造者などを表示します。販売サイトでは免許の種類と販売範囲も関わります。国税庁:酒類の表示国税庁:酒類販売業免許の手引

具体例

NG : 酒類の購入画面で「18歳以上ですか」への回答を販売可能年齢の判定に使用する。
OK : 20歳以上を基準に年齢を確認し、申込画面の年齢記載欄と飲酒禁止等の表示も設ける。

酒類の広告自主基準

業界自主基準では20歳未満に主に訴求するキャラクター、清涼飲料と誤認させる表現、過度の飲酒を促す表現などを制限しています。人物の起用や注意文言の大きさ・見やすさも対象です。酒類の広告審査委員会:広告・宣伝関係 ノンアルコール飲料にも自主基準があります。酒類の広告審査委員会:自主基準の基本的な考え方

具体例

NG : 子どもに主に訴求するキャラクターで酒類を宣伝する。
OK : そのキャラクターを使用せず、20歳以上向けの表現と所定の注意表示で構成する。

たばこの年齢制限・広告・販売

喫煙も20歳未満は禁止され、たばこ・喫煙器具の販売には年齢確認などの措置が関係します。e-Gov:喫煙に関する法律 広告にはたばこ事業法に基づく財務省の指針があり、媒体・場所・注意表示などが定められています。財務省:広告を行う際の指針

通信販売には許可に付す年齢確認等の条件があり、自己申告のゲートだけで販売要件を満たすとは判断できません。財務省:通信販売の年齢確認等 加熱式たばこ、電子たばこ、器具も中身と商品区分から適用法令を判断します。

具体例

NG : 通信販売で自己申告の「20歳以上」ボタンだけを置き、販売許可の年齢確認条件を省く。
OK : 販売許可に付された方法に従い、必要な年齢確認を購入手続へ組み込む。

子ども・青少年を対象とする制作

未成年者の契約

成年年齢は18歳で、未成年者の契約には法定代理人の同意や取消しに関する規定と例外があります。会員登録、課金、定期契約では対象年齢と保護者の関与を設計します。「18歳以上」のチェックだけで取引上の問題がすべて解消するわけではありません。法務省:成年年齢に関するQ&A

青少年インターネット環境整備法・条例

18歳未満が安全にインターネットを利用できる環境を整備する法律です。フィルタリングなどの義務は事業者の役割で異なり、一般サイトへ一律に年齢認証を求める制度ではありません。こども家庭庁:青少年インターネット環境整備法

地域の青少年保護育成条例には図書類の販売・陳列などの規定もあります。例えば東京都は18歳未満を青少年と定義しています。対象地域・媒体に応じた区分や表示が関わります。東京都:青少年の健全な育成に関する条例

子どもの個人情報

同意が必要な取扱いでは、本人が同意の結果を理解・判断できるかが論点です。法定代理人等の同意が必要となる年齢は取得情報や事業の性質などから個別に判断されます。個人情報保護委員会:子どもの同意に関するFAQ

2026年7月公布の改正法には16歳未満の個人情報について法定代理人への通知や代理人からの同意取得などの規律が加わりました。この規律は本稿の確認時点では施行前のため、現行ルールと分けて施行日やガイドラインを確認します。個人情報保護委員会:令和8年改正個人情報保護法

具体例

NG : 同意が必要な子どもの情報取得を、同意の意味を理解できない本人のチェックだけで進める。
OK : 取得する情報と利用目的を説明し、法定代理人等の同意を得る。

アクセシビリティ

障害者差別解消法

不当な差別的取扱いを禁止し、2024年4月からは事業者による合理的配慮の提供も義務化されています。障害のある人から障壁を取り除く必要があると伝えられた場合に、過重な負担でない範囲で個別に対応します。内閣府:改正障害者差別解消法 Webアクセシビリティの改善はあらかじめ障壁を減らす環境整備に関わります。同法上の環境整備は努力義務で、個別の合理的配慮とは区別します。国内の全サイトへ特定のWCAGレベルを一律に義務付ける規定ではありません。内閣府:障害者差別解消法の基本方針

JIS・WCAGと契約要件

アクセシビリティを検証する標準で、コントラスト、キーボード操作、代替テキストなどを扱います。法令や調達・契約で求められる版・レベルに合わせて設計と検証を進めます。W3C:WCAG 2.2 ADAとの関係や実装はADAとWCAGについてにまとめています。

具体例

NG : フォームの入力エラーを、枠が赤くなることだけで伝える。
OK : 色の変化に加えて「メールアドレスを入力してください」と文字で示す。

業種ごとの広告・表示

金融・保険・融資

金融商品取引法、保険業法、貸金業法などが事業・商品に応じて関係します。金融広告では利益や低金利に加えて手数料・リスクを正確に伝える必要があります。比較図や返済シミュレーションの前提条件、登録を国の推奨のように見せないことも論点です。金融庁:金融商品取引業者等向けの監督指針

不動産

宅地建物取引業法と不動産の表示に関する公正競争規約などが関係します。「新築」「徒歩○分」や物件情報には具体的な表示基準があります。首都圏不動産公正取引協議会:表示規約と事例

具体例

NG : 成約済みで紹介できない物件を「募集中」として広告に残す。
OK : 募集終了を反映し、募集中の物件としての広告掲載を止める。

旅行・宿泊

旅行商品の募集・予約には旅行業法や取引条件表示のガイドラインなどが関係します。画面では契約相手、代金に含まれるもの、追加料金、取消条件を明確にします。観光庁:旅行予約サイト利用時の確認事項 宿泊施設の直販と旅行商品の手配は区別し、旅館業法・住宅宿泊事業法などの事業区分も把握します。

求人・採用

職業安定法は求人情報の的確な表示を求め、自社サイトやSNSの募集も対象です。広告自体に募集主の氏名・名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金を示します。固定残業代や雇用形態なども実態に合わせて伝えます。厚生労働省:労働者の募集広告の表示 対象者を限定する募集文言には男女雇用機会均等法や年齢制限に関する規定も関わります。

具体例

NG : 実際は有期契約社員の募集なのに「正社員募集」と表示する。
OK : 実際の雇用形態である「契約社員」と契約期間などの条件を表示する。

製品・パッケージ・説明書

家庭用品品質表示法

指定された家庭用品の品質表示を定めます。衣類の組成・取扱表示、日用品の材質・使用上の注意などが制作との接点です。消費者庁:家庭用品品質表示法

具体例

NG : 洗濯表示の記号を、ブランドに合わせた独自のイラストへ置き換える。
OK : 規定に合う記号を使用し、余白や配置でブランドのデザインと調整する。

製造物責任法・製品安全関係法令

製造物責任法では指示・警告の不足も欠陥として問題になる場合があります。説明書や警告ラベルの図解・文言が安全に関わります。消費者庁:製造物責任法の概要Q&A

消費生活用製品安全法や電気用品安全法などは対象製品の安全基準と表示を定めます。PSC・PSEなどのマークは法令上の条件に基づくため、製造・輸入事業者から使用できる表示を受け取ります。経済産業省:製品安全法令とPSマーク

具体例

NG : 説明書の「お手入れ前に電源プラグを抜く」という重要な警告を、文字量を減らすために削る。
OK : 警告を残し、該当する手順の近くで図と文を使って伝える。

計量法

計量の単位や正確な計量に関する法律です。対象商品では内容量の表示や量目公差が関係します。容器包装の容量表記は食品表示などの規定と併せて、何の量をどの単位で示すかを決めます。経済産業省:商品量目制度の概要

識別表示・リサイクル・環境表示

資源有効利用促進法では指定された容器包装などに識別表示が必要です。紙・プラスチックなどの材質や構成に合わせて表示し、容器包装リサイクル法の再商品化義務とは区別します。経済産業省:識別表示の制度

「環境にやさしい」「再生材を使用」などの訴求には根拠と対象範囲を示し、認証マークは認証団体の使用条件に従います。

看板・屋外広告・空間

屋外広告物法・景観法・条例

看板などの掲出場所、面積、高さ、色彩は屋外広告物法に基づく条例や景観に関する制度で規制される場合があります。国土交通省:屋外広告物制度の概要 デジタルサイネージの光・表示方法、看板の構造、道路の占用・使用手続も関わるため、設置場所ごとに掲出条件を把握します。

建築・消防・バリアフリー関係の規定

店舗や展示空間には建築基準法、消防法、バリアフリー法、自治体の条例などが関係します。内装材、避難経路、誘導表示、移動のしやすさを建築・設備の条件と合わせて検討し、装飾や展示物で必要な表示・通路を妨げないようにします。国土交通省:建築基準法の防火規制

具体例

NG : 展示ブースの装飾で避難口の誘導表示を隠す。
OK : 装飾の位置を変え、誘導表示と必要な避難経路を確保する。

投稿機能・選挙・特定用途

投稿サービスと権利侵害対応

投稿機能には著作権や人格に関する権利に加えて情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)などが関係します。同法には権利侵害情報への対応や発信者情報開示の枠組みがあり、指定された大規模事業者には追加義務があります。総務省:インターネット上の違法・有害情報に対する対応 通報・削除申出の窓口と、投稿の公開範囲・二次利用の条件が設計の対象です。

不正アクセス禁止法

アクセス制御を回避する行為などを規制します。e-Gov:不正アクセス行為の禁止等に関する法律

具体例

NG : 参考調査のため、他人のID・パスワードを許可なく使用して会員画面に入る。
OK : 運営者が調査用に許可したアカウントで、認められた範囲を閲覧する。

選挙・政治活動の広告

公職選挙法では選挙運動と政治活動、期間、発信主体、媒体によって扱いが異なります。有料インターネット広告にも禁止と例外があるため、一般広告の配信設定を流用せず、版下・配信の確定前に選挙管理委員会などへ確認します。e-Gov:公職選挙法

成人向け・遊技・ギャンブル関連

刑法、風営法、児童の保護に関する法律、地域の条例などが関係します。年齢ゲートだけで提供・宣伝自体の適法性が確保されるものではありません。e-Gov:刑法e-Gov:風営法

違法オンラインギャンブルのサイト・アプリを国内の不特定の者へ提示したり、誘導情報を発信したりする行為を禁じる改正ギャンブル等依存症対策基本法は2025年9月25日に施行されています。広告やリンク掲載も関わります。警察庁:オンラインカジノと広告・誘導の規制

制作の受注・外注と権利の帰属

民法・制作契約・秘密保持

制作契約では業務範囲、報酬、納期、検収、修正、解除などを定めます。制作費の支払だけで著作権が当然にすべて移るわけではありません。文化庁:文化芸術活動に関する法的問題のFAQ 納品物と編集用データ、使用許諾と権利譲渡を分け、秘密保持、再委託、実績公開、素材の再利用まで合意します。

フリーランス法

正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。一定のフリーランスと発注事業者の取引適正化・就業環境整備を目的とします。取引条件の明示や報酬の支払などを定め、発注側の体制や委託期間で義務が異なります。受注するときに加えて、撮影・イラスト・実装などを個人へ外注するときにも関係します。公正取引委員会:フリーランス法

具体例

NG : 取引条件の明示義務がある発注を、金額や支払期日を知らせず口頭だけで進める。
OK : 発注時に業務内容、報酬、支払期日などの必要事項を書面やメールで明示する。

取適法・独占禁止法

旧下請法は改正により名称が変わり、2026年1月1日から取適法として施行されています。委託内容・事業者の規模などで適用が決まり、デザインの情報成果物作成委託も対象になり得ます。公正取引委員会:取適法 一方的な減額、無償のやり直し、不採用案を含む権利譲渡などが論点です。取適法Q&A

対象外の取引でも独占禁止法の優越的地位の濫用が問題になる場合があります。公正取引委員会:優越的地位の濫用に関する考え方

素材・ソフトウェアのライセンスと生成AI

フォント・写真・音楽・OSS

素材やソフトウェアは個別の使用許諾に従います。「商用利用可」でも商品化、再配布、Web配信、アプリへの組込みまで許されるとは限りません。文化庁:著作権契約に関するFAQ OSSの著作権表示・ソース提供なども含め、納品時に第三者素材の一覧と使用条件を残します。

広告媒体やSNSの掲載規約も制作条件になります。媒体審査の通過は法令全体への適合を保証しません。

具体例

NG : 印刷物での使用だけを許諾されたフォントファイルを、Web配信用にサーバーへ置く。
OK : Web配信を許諾するライセンスを取得し、配信条件に従って使用する。

生成AI

生成AIにも著作権や人格に関する権利が関わります。学習段階と生成・利用段階を分け、生成物の著作権侵害の有無は既存著作物との類似性・依拠性や、許諾・権利制限規定などから判断します。文化庁:AIと著作権

入力資料の権利、秘密情報・個人情報、サービスの規約も論点です。生成した人物画像や架空の体験談を広告に用いる場合は、肖像や広告表示の問題も残ります。

具体例

NG : AIで架空の購入者をつくり、実在する顧客のレビューとして掲載する。
OK : 確認できた実際のレビューを、掲載許諾などの条件に従って使用する。

海外向けの制作で追加する確認

GDPR・ePrivacyと各国の個人情報保護制度

EU・EEA向けでは個人データ処理に関するGDPRと、端末への保存・読取りなどに関するePrivacy指令・各国法が関係します。日本企業も対象になり得ます。同意・拒否・撤回やタグ制御はEU・EEA向けWebサイト制作におけるCookieと同意管理の確認事項にまとめています。

米国は州によって制度が異なり、カリフォルニア州のCCPAでは適用対象や個人情報の販売・共有のオプトアウトなどが論点です。カリフォルニア州司法長官:CCPA

ADA・EAA

米国のADAは障害を理由とする差別を禁止する法律です。州・地方政府と民間の公衆向け事業では適用規定が異なり、WCAGへの適合だけで法的判断が完結するものではありません。米国司法省:WebアクセシビリティとADA

EUのEAAは2025年6月28日から対象製品・サービスへ適用されています。電子商取引なども含まれますが、適用除外・経過措置・各国の実施法を踏まえて対応範囲を決めます。欧州委員会:EAAの適用

子どもの保護・オンラインプラットフォーム

米国のCOPPAは13歳未満向けサービスや、13歳未満からの個人情報取得を実際に認識している一定の事業者などに関係します。原則として保護者への通知や同意取得などが求められ、対象年齢の判定には内容やデザインも関わります。FTC:COPPAに関するFAQ

EUのDSAではオンライン仲介サービスやプラットフォームの種類・規模に応じて、広告の透明性、未成年者保護、画面設計などの義務が異なります。欧州委員会:Digital Services Act

さいごに

ここまででデザインに関わる法律や権利についてまとめてきましたがWeb制作では特に次の点に注意しておきたいです。

  • 写真やフォントなどの使い方 : Webへの掲載、広告への使用、画像の加工など、予定している使い方が認められているかを確認します。以前使った素材を別の用途で使うときも同様です。
  • 申込み・契約・解約の流れ : 金額や契約条件を理解して申し込めるか、内容を確認・訂正できるかを確認します。解約方法を見つけにくくしたり不要な操作を重ねさせたりしないことも大切です。
  • フォームや外部サービスで扱う情報 : 何を取得し、どこへ送信するかに加えて、保存した情報を誰が閲覧できるかも確認します。その内容に応じて利用者への説明や同意が必要かを整理します。
  • 広告の内容と見せ方 : 商品・サービスの種類に合わせて、効果や価格の説明に根拠があるか、必要な注意書きがあるかを確認します。支給原稿も実際の画面で条件が伝わるかまで確認する必要があります。
  • アクセシビリティ : 契約や法令で対応が求められるかの確認が必要です。文字の読みやすさ、キーボード操作、画像の代替テキストなどは利用しやすさの観点からも検討しておきたいです。

運営・販売主体、対象国・地域、利用者の年齢はこれらを判断する前提になります。商品・サービスの区分や契約形態とともに依頼者と共有しておきたい情報です。判断に迷う場合はこれらの情報に掲載予定の文章やデザイン案などを添え、依頼者の法務担当者やその分野に詳しい専門家へ相談することを推奨します。

参考

知的財産・人物の権利・ライセンス

広告・取引・ダークパターン

個人情報・外部送信・広告メール

医療・美容・食品

酒類・たばこ・青少年保護

アクセシビリティ・海外制度

業種別の広告・表示

製品・パッケージ・空間

投稿サービス・選挙・特定用途

制作契約・受発注

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